MESSAGE FROM CHAIRMAN 世話人代表挨拶

世話人・事務局 : 本田 一穂世話人代表 : 本田 一穂

本研究会は2017年に腎生検LVSEM研究会として発足しました。2025年より研究対象を腎臓のみならず全臓器に拡げるため、メディカルLVSEM研究会に改称しました。LVSEMとは低真空走査型電子顕微鏡(Low Vacuum Scanning Electron Microscopy)の略称です。この電子顕微鏡は日本で開発された卓上型の機器で、通常の病理パラフィン切片をそのまま電子顕微鏡レベルの高倍率で3次元的に観察することができます。2007年に鳥取大学解剖学の稲賀すみれ先生が、この方法を用いた病理標本の観察法を発表しました。この発表を目にした日本医科大学病理学の山中宣昭先生が、腎生検を3次元的に観察する画期的方法であることに注目し、自ら精力的に膜性腎炎などの糸球体腎炎の研究に取り組み、新知見を学会に発表されました。その後、山中先生を代表とする本研究会か立ち上がり、研究活動を続けてきました。 このような経緯でLVSEMは、まず腎病理領域で診断や研究が進められてきましたが、他臓器の病理診断や細胞診にも応用する研究者が増えてきたため、研究会では名称を改称して活動を拡大することになりました。 形態学において3次元的観察の魅力は言うまでもありません。まして、電子顕微鏡レベルで細胞や細胞外基質の微細構造観察できることは、光学顕微鏡レベルの観察を主としてきた病理診断に新たな地平をもたらします。この魅力的で可能性を秘めたLVSEMを用いて、日頃観察しているプレパラートを観察してみませんか。きっと新たな世界が見えてくることでしょう。 さらに、最近の情報科学技術(IT)の進歩により、大容量の画像データ取得と解析が可能となり、人工知能(AI)が病理診断を行う時代に突入しています。モノクロの電子顕微鏡画像に色彩を付ける魅力的なカラーイメージング技術も進歩しています。 本研究会では、LVSEMによる広域電子顕微鏡観察にこれらの情報科学技術をリンクさせた、新たな病理診断のイノベーションの追求もすでに始められています。 LVSEMを利用した病理診断のイノベーションから医療に貢献し、医学の発展を目指す、私たちメディカルLVSEM研究会の活動に、多く病理医、臨床医、検査技師、研究者が加わってくれることを望んでいます。

2025年11月吉日


 

MEMBER INTRODUCTION

世話人紹介

世話人・事務局 : 本田 一穂

世話人代表 : 本田 一穂

昭和大学医学部 顕微解剖学

世話人 : 稲賀 すみれ

世話人 : 稲賀 すみれ

鳥取大学医学部 解剖学講座

世話人 : 江原 孝史

世話人 : 江原 孝史

松本大学 人間健康学部

世話人 : 岡田 晋一

世話人 : 岡田 晋一

鳥取大学医学部 周産期・小児医学分野

世話人 : 川西 邦夫

世話人 : 川西 邦夫

昭和大学医学部 顕微解剖学

世話人 : 清水 章

世話人 : 清水 章

日本医科大学 解析人体病理学

世話人 : 藤乘 嗣泰

世話人 : 藤乘 嗣泰

獨協医大 腎臓・高血圧内科

※あいうえお順

本研究会会長で日本医科大学名誉教授の山中宜昭先生(享年87才)が、2023年3月15日にご逝去なされました。本研究会は「LVSEMは腎生検診断に役立つ画期的なツールである」という山中先生の強い思いで立ち上がりました。先生の腎病理やLVSEMにかける情熱を引き継いでいけるよう、今後も世話人・事務局が一丸となって、研究会の運営と発展に努力していく所存です。皆様方の更なるご支援をお願いし、山中先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

2023年3月22日 腎生検LVSEM研究会事務局代表 本田一穂